EUが、子どものSNS利用を大きく制限する方針を打ち出しました。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は2026年9月16日の演説で、13歳未満のSNS利用を禁止し、15歳未満は個人アカウントを持てないようにする「EU Kids Act(子ども法案)」を提案する方針を示しました。
さらに驚きなのが、対象がSNSだけではないことです。
動画アプリやオンラインゲーム、AIチャットボットなど、子どもが長時間利用したり、依存性が問題視されたりしているデジタルサービスも対象になる見通しです。
では、なぜEUはここまで規制を強化しようとしているのでしょうか。
そして、
「日本でも15歳未満のSNSが禁止される?」
「ChatGPTなどのAIも使えなくなる?」
「ゲームまで規制されるの?」
と気になる人も多いでしょう。
この記事では、現時点で公表されている情報をもとに、EUの「子ども法案」と日本への影響を分かりやすく整理します。
・EUは13歳未満のSNS利用禁止を提案
・15歳未満は個人アカウントを禁止する方向
・13~14歳は保護者管理の「ミニアカウント」を想定
・AIチャットボットやオンラインゲームも対象になる見通し
・日本では現時点でEUと同じ一律規制は決まっていない
・日本でも青少年のネット利用をめぐる制度の見直しが進んでいる

EUが15歳未満のSNS利用を制限へ
今回の発表の中心となるのが、EUが提案する「EU Kids Act」です。
フォンデアライエン欧州委員会委員長は、年齢によって段階的にデジタルサービスへの制限を設ける考えを示しました。
現時点で示されている内容を簡単に整理すると、次のようになります。
| 年齢 | 示されている方向性 |
|---|---|
| 13歳未満 | SNS利用を禁止 |
| 13~14歳 | 保護者が管理する制限付きアカウント |
| 15歳未満 | 個人アカウントを認めない方向 |
| 15~18歳 | 安全な設計をサービス側に義務付ける方向 |
13~14歳については、保護者・後見人が設定する「ミニアカウント」を想定し、機能を制限したうえで利用時間を1日1時間にする案が示されています。
つまり「15歳未満は一律でインターネット禁止」という話ではありません。年齢によって利用できる範囲を変える仕組みが検討されています。
なぜEUはSNSを規制するの?
今回の規制案の背景にあるのが、子どものオンライン上の安全や健康への懸念です。
フォンデアライエン氏は、子どもが長時間画面を見ることによって集中力などに影響が出るとの問題意識を示しています。
EU側では以前から、SNSなどのオンラインサービスについて、子どもを守るための対策を進めてきました。
2026年7月には、欧州委員会がTikTokについて、未成年者のアカウントが十分な安全基準を満たしていないとの予備的な見解を示しています。
また、EUの調査では、オンライン上の「未成年者への保護が不十分」と感じる人が41%に達するなど、子どものオンライン環境への懸念が示されています。
つまり今回の法案は、突然出てきた話ではなく、EUがこれまで進めてきたオンライン上の子ども保護政策をさらに強化する動きと見ることができます。
ポイントは「SNSそのものを禁止する」というより、子どもを依存性の高いサービスやオンライン上の危険から守るため、サービス提供側にも対策を求めようとしていることです。
SNSだけじゃない?AIやオンラインゲームも対象に
今回、多くの人が驚く可能性があるのがここです。
EUの規制案は、SNSだけを対象とするものではありません。
報道では、
・動画共有サービス
・AIチャットボット
・オンラインゲーム
なども対象になる見通しとされています。
つまり、
「SNSを使わなければ大丈夫」
という単純な話ではありません。
子どもが利用するデジタルサービス全体を対象に、年齢やサービスの特性に応じて安全対策を求める方向です。

AIまで規制する理由は?
では、なぜAIチャットボットまで対象になるのでしょうか。
一つの理由として考えられるのが、AIが子どもとの会話を通じて強い影響を与える可能性です。
AIチャットボットは、単に情報を検索するサービスとは違い、ユーザーと会話を続けることができます。
そのため、子どもがAIを「相談相手」や「友人」のように使うケースも考えられます。
さらにEU側は、AIによって生成された性的な画像などについても問題意識を示しています。フォンデアライエン氏は、少女の写真がAIによる性的な画像に利用されることへの懸念にも言及しました。
ただし、ここで注意したいのは、
「AIそのものを15歳未満は禁止することが確定した」という意味ではないことです。
日本でも15歳未満のSNSが禁止される?
ここが日本の読者にとって最も気になるところでしょう。
結論からいうと、2026年9月17日時点で、日本がEUと同じ形で15歳未満のSNS利用を一律禁止すると決まったわけではありません。
日本にはすでに「青少年インターネット環境整備法」があり、18歳未満の青少年が安全にインターネットを利用できる環境を整えるため、フィルタリングの普及などが進められています。
こども家庭庁によると、この法律では、
・青少年がインターネットを適切に活用する能力を身につけること
・フィルタリングによって有害情報の閲覧機会を減らすこと
・民間事業者の取り組みを政府が支援すること
などが基本とされています。
つまり、日本は現在、
「15歳未満だからSNSは禁止」
というEU案とは異なるアプローチを取っています。
ただし、日本でも議論は進んでいる
「日本では何も議論されていない」というわけでもありません。
こども家庭庁では、青少年のインターネット利用をめぐる検討会やワーキンググループが開かれています。
2026年には「青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ」が設置され、7月31日には中間整理報告書も公表されています。さらに9月16日には、関係府省庁の連絡会議が開催されています。
そのため、
「EUと同じ15歳未満SNS禁止が決まった」→ ❌
「日本でも青少年のネット利用について検討が進んでいる」→ ○
「今後、EUの動きが日本の議論に影響する可能性がある」→ 可能性として注目
という整理が適切です。
EUの規制は日本にも影響する?
では、EUの規制が決まった場合、日本にも直接影響するのでしょうか。
ここは少し注意が必要です。
EUの法律は、そのまま日本国内のルールになるわけではありません。
EU加盟国を対象とする制度なので、日本の子どもが15歳になっていないからといって、日本国内でSNSが自動的に使えなくなるわけではありません。
一方で、大手SNSやAIサービスを世界規模で提供している企業にとっては、EUのルールへの対応がサービス設計に影響する可能性があります。
EUはこれまでも、デジタルサービスに対して厳しい規制を導入してきました。
そのため、EU向けに導入された年齢確認や保護者管理などの仕組みが、他の地域にも広がる可能性はあります。
ただし、「EUが規制する=日本でも同じ規制になる」と断定することはできません。
今後、日本でもSNS規制は強化される?
現時点では、ここを断定することはできません。
日本ではすでに青少年のインターネット利用について法律やフィルタリング制度があります。
さらに、こども家庭庁では制度の在り方について検討が続いています。
そのため今後、
・SNSの年齢確認
・保護者による管理
・AIサービスの年齢対策
・オンラインゲームの安全対策
などについて議論が深まる可能性はあります。
ただし、これは現時点で確認できる制度や検討状況から見た今後の論点であり、「日本でも15歳未満SNS禁止が決定した」という話ではありません。
海外のニュースを見て「日本もすぐ同じ規制になる」と考えるのは早いでしょう。
EUの「子ども法案」はいつ決まる?
もう一つ重要なのが、今回の制度がまだ確定していないことです。
EUは2026年9月17日に法案の詳細を公表する予定とされており、その後、EU理事会や欧州議会での審議が必要になります。
つまり現段階では、
「EUで15歳未満のSNS利用禁止が決まった」
というより、
「欧州委員会が、その方向の法案を提案する」
という段階です。
今後の審議で内容が変更される可能性もあります。
この記事では、正式決定した制度と、現在提案されている内容を分けて紹介しています。
EUのSNS規制で今後注目したい3つのポイント
今回のニュースをきっかけに、今後注目したいのは次の3点です。
① 年齢確認をどうするのか
15歳未満の個人アカウントを禁止するなら、「本当に15歳以上なのか」を確認する仕組みが必要になります。
EUでは、すでに年齢確認アプリのプロトタイプも開発されています。
今後は、
「個人情報をどう守るのか」
「年齢をどう確認するのか」
という問題も重要になりそうです。
② AIをどこまで規制するのか
AIチャットボットが対象になる場合、
「ChatGPTのような一般的な生成AIも対象になるのか?」
「AIによって規制内容は変わるのか?」
など、具体的な線引きが注目されます。
現時点では、対象範囲の詳細は今後の法案や審議を確認する必要があります。
③ 日本がどう対応するのか
EUの制度そのものより、日本政府が今後どのような議論をするのかが、日本の利用者にとっては重要です。
日本ではすでに青少年のネット利用環境について検討が進んでいるため、EUの動きが今後の議論でどのように扱われるのかにも注目です。
まとめ|EUのSNS規制は日本にも広がる?
EUは、15歳未満の子どもについてSNSの利用を大きく制限する「EU Kids Act」を提案する方針を示しました。
現時点で示されている内容では、
・13歳未満はSNS利用禁止
・15歳未満は個人アカウントを認めない方向
・13~14歳は保護者管理の制限付きアカウント
・AIチャットボットやオンラインゲームなども対象になる見通し
となっています。
ただし、これはまだ法案の提案段階です。
日本では現時点で、EUと同じ「15歳未満SNS禁止」が決まっているわけではありません。
日本では「青少年インターネット環境整備法」に基づき、フィルタリングなどを中心とした青少年保護が行われているほか、制度の在り方についても検討が続いています。
そのため、今回のEUの動きで最も注目したいのは、
「日本でも同じ規制になるのか?」
という点だけではありません。
SNS、AI、ゲームを含めて、子どもをオンライン上のリスクからどう守るのか――。
この問題そのものが、今後日本でも大きな議論になる可能性があります。
今後、EUの法案の詳細や日本政府の対応が明らかになれば、内容も変わってくる可能性があります。
※この記事は2026年9月17日時点の公開情報をもとに作成しています。EUの「EU Kids Act」は提案段階であり、最終的な内容は今後の審議によって変更される可能性があります。

