仕事組織には、ある「理不尽なルール」が存在します。
「なぜ、あの無能な上司が評価されて、 成果を出している自分が冷遇されるのか?」
あなたも一度は、 そんな疑問を持ったことがありませんか?
誰よりも早く正解を出し、 会社に貢献しようとしている。
それなのに、なぜか周囲との溝が深まっていく……。
もし今、そんな状況なら、 あなたはビジネスマンとして 「致命的なミス」を犯しているかもしれません。
そのミスとは、「優秀さを見せつけすぎていること」です。
歴史を振り返ると、 能力が高すぎるがゆえに身を滅ぼした人は星の数ほどいます。
一方で、圧倒的な才能を隠し持ちながら、 したたかに生き残った天才もいました。

その代表格こそが、 天才軍師・黒田官兵衛(くろだかんべえ)です。
今回は、官兵衛の生き様から、 現代社会で「優秀な人」が陥る罠と、 それを回避する「高度な処世術」を解説します。
これは、きれいごと抜きの生存戦略です。
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組織において「切れすぎる刀」は嫌われる

戦国時代も、現代の会社組織も、 組織の本質は驚くほど変わっていません。
それは、組織が 「人間の嫉妬と恐怖心で動いている」 という点です。
上司が抱く「恐怖」の正体
あなたがもし、上司よりも早く市場を分析し、 誰も思いつかない完璧な企画を出したとします。
会社にとってはプラスのはずですよね?
しかし、あなたの上司 (特に自分に自信がないタイプ)は、 心の中でこう叫んでいるのです。
- 「こいつ、俺の立場を脅かす気か?」
- 「俺が無能に見えてしまうじゃないか」
- 「部下のくせに生意気だ」
そう、「恐怖」を感じているのです。
組織において、権力者に恐怖心を抱かせる部下は、 遅かれ早かれ排除されます。
どれだけ素晴らしい実績があろうと、関係ありません。
これが、 「優秀な人ほど社内政治で負ける」 というパラドックスの正体です。
「次に天下を取るのはお前だ」という死の宣告
黒田官兵衛もまた、 この「優秀すぎるがゆえの罠」に陥りかけました。
彼の戦略眼は神がかっており、 秀吉の天下統一事業のほとんどは、 官兵衛の描いたシナリオ通りに進みました。
しかし、天下統一が近づくにつれ、 秀吉の目は、信頼から「警戒」へと変わっていきます。
秀吉が漏らした本音
ある時、秀吉が側近たちにこう尋ねました。

「ワシが死んだ後、誰が天下を取ると思う?」
家康や利家の名が挙がる中、 秀吉はこう言い放ったのです。

「お前たちは分かっていない。 次に天下を取るのは黒田官兵衛だ。
あいつにその気があれば、 ワシの天下など生きてるうちに奪ってしまうだろう」
これは最大の賛辞に聞こえます。
しかし、独裁者が「自分の地位を脅かす存在」を認識した瞬間。
それは戦国時代において、「死の宣告」と同義でした。
実際、天下統一後の論功行賞で、 最大の功労者である官兵衛に与えられたのは、 九州の片田舎、わずか12万石のみ。
明らかに冷遇され、中央から遠ざけられたのです。
ここで官兵衛は悟りました。

「自分の才能は、もはや武器ではない。 自分の首を絞める縄になってしまった」
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「バカのふり」ができる者が最後に勝つ

ここからの官兵衛の身の処し方が、 現代の私たちにとって最大の教科書になります。
秀吉の殺気を感じ取った官兵衛は、 徹底的な「戦略的撤退」を行いました。
- 43歳の若さで隠居し、家督を息子に譲る
- 「如水(じょすい)」と名乗り、野心がないことをアピール
- 政治から離れ、茶の湯や連歌に没頭する
彼は「才能を誇示すること」をやめ、 「上司(秀吉)を安心させること」に全振りしたのです。
現代ビジネスで使える「擬態」テクニック

これを現代のオフィスで実践するなら、 次のような行動が効果的です。
- 会議で上司を論破しない 正論で勝っても、組織人としては負けです。
- あえて「80点」で相談する 完璧な状態で出すのではなく、「この部分、どうしても部長のお知恵をお借りしたいのですが…」と隙を見せます。
- 手柄を譲る 「部長のアドバイスのおかげで、うまくいきました」と報告します。
「能ある鷹は爪を隠す」と言います。
しかし、本当の天才は爪を隠すだけでなく、 時には「自分は鷹ではなく、ただのニワトリです」 という顔ができるのです。
「プライドが許さない」 そう思うかもしれません。
しかし、あなたの目的は何でしょうか?
一時的に自尊心を満たすことですか?
それとも、 組織の中で生き残り、 最終的に自分のやりたいことを実現することですか?
もし後者なら、時には才能に蓋をしてでも、 権力者を安心させる「演技力」が必要です。
まとめ:真の知性とは「感情を計算に入れること」
黒田官兵衛の生き様は、 真の知性とは何かを教えてくれます。
ただ論理的に正しい答えを出すだけでは、 組織においては二流です。
一流の戦略家は、その正解が 「相手(上司)の感情にどう影響するか」 までを計算に入れます。
- 論理(ロジック)で正解を導き出し
- 感情(エモーション)で人を動かす
この両輪が揃って初めて、 あなたの優秀さは組織の中で武器になります。
現代社会もまた、形を変えた戦国時代。
切れすぎる刀は、 下手をすれば自分自身を傷つけます。
時には官兵衛のように、 その鋭い知性を「バカのふり」という鞘に収め、 したたかに乱世を生き抜いていきましょう。
生き残った者だけが、次のチャンスを掴めるのですから。
※正攻法だけでは勝てない組織の力学が、残酷なほどリアルに書かれています。「良い人」をやめて「賢い人」になりたい人はぜひ。


