2025年1月7日、米カリフォルニア州ロサンゼルス西部で山火事が発生しました。
炎は高級住宅地パシフィック・パリセーズのほか、イートン地区、ハースト地区、ウッドリー地区にも広がっており、鎮火率は0%で、1000棟以上の建物が焼失したとみられています。
この山火事は長引きそうですが、過去にもロサンゼルスでは何回も起こっています。
どのくらいで鎮火できるのか、そしてなぜ長引くのかを調査しました。
過去のロサンゼルスの山火事で特に長引いた事例
過去に発生したロサンゼルス周辺の代表的な山火事の鎮火までにかかった期間を表にしました。
火災名 | 発生期間 | 鎮火期間 | 規模(焼失面積) | 原因 |
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シダー火災(Cedar Fire) | 2003年10月25日~11月5日 | 約2週間 | 約280,000エーカー(1,130平方キロメートル) | 狩猟活動による火の不始末(狼煙) |
トーマス火災(Thomas Fire) | 2017年12月4日~2018年1月12日 | 約1ヶ月 | 約283,000エーカー(1,145平方キロメートル) | 倒れた電線 |
オーガストコンプレックス火災(August Complex Fire) | 2020年8月16日~11月12日 | 約3ヶ月 | 約1,032,648エーカー(約4,180平方キロメートル) | 落雷 |
ディキシー火災(Dixie Fire) | 2021年7月13日~10月25日 | 約3ヶ月 | 約960,000エーカー(3,900平方キロメートル) | 配電線への倒木 |
過去の鎮火期間を見ても、今回(2025年1月)のロサンゼルスの山火事も数か月かかってもおかしくなさそうですね。
ロサンゼルスの山火事が長引く5つの理由
ロサンゼルスの山火事が長引く理由は、以下のような複数の要因が重なるためだと考えられます。
理由①乾燥した気候と高温
ロサンゼルスは年間を通じて降水量が少なく、非常に乾燥しています。
この乾燥した状態が続くと、草木が燃えやすくなり、火が広がりやすくなります。
理由➁サンタアナ風
ロサンゼルス周辺で頻繁に発生する※サンタアナ風は、山火事を長引かせる大きな要因です。
これらの強風は火を広範囲に急速に広げるだけでなく、消火活動を困難にします。
※サンタアナ風
アメリカ・カリフォルニア州南部で秋から冬にかけて頻繁に発生する、乾燥した強い風
要因 | 内容 |
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高気圧の存在 | カリフォルニア北東部(グレートベースン)に高気圧が発生。 |
低気圧への流れ | 高気圧からカリフォルニア南部の低気圧へ空気が移動。 |
圧縮加熱現象 | 空気が山脈を通過する際に圧縮され、温度が上昇(フォーン現象の一種)。 |
湿度の低下 | 空気が暖かくなることで湿度が低下し、乾燥した風になる。 |
山岳地形の影響 | サンガブリエル山脈などの地形を越えることで風が加速。 |
季節的な条件 | 秋から冬にかけて、グレートベースンに高気圧ができやすい気候条件。 |
理由③地形の複雑さ
ロサンゼルス周辺は山岳地帯が多く、急な斜面やアクセスが難しい場所が多いです。
この地形が消火作業を妨げ、火災の鎮火に時間がかかる原因となります。
理由④気候変動の影響
地球温暖化により、火災シーズンが長期化し、気温が上昇することで火災リスクが増大しています。
また、高温と低湿度が火災をさらに燃えやすくし、消火に時間を要する状況を生んでいます。
理由⑤広範囲な火災とリソースの不足
山火事が広範囲に及ぶと、消防や救援のリソースが分散し、各エリアの消火作業に十分な時間と資源を投入できなくなります。
そのため、全体的な消火活動が長引くことになります。
これらの要因が複合的に作用し、ロサンゼルスの山火事は長期間にわたって続くことが多いのです。